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水循環の明るい水来(みらい)へ「グリーンインフラ」

水循環の明るい水来(みらい)へ

グリーンインフラとは、自然が有する多様な機能や仕組みを活用した社会基盤や土地利用計画を指し、
自然環境、生態系に配慮した街づくりを検討する際の重要な考え方になっています。

この整備手法は、当初、米国で発案され、連邦政府による水質浄化法の制定(1972)、雨水管理ガイドラインの
策定(2004)と関連して、2007年にEPA(Environmetal Protection Agency:米国環境保護庁)等から
提出されたグリーンインフラ主旨書1)がきっかけとなっています。
これを受けて、2013年にグリーンインフラの普及のために取り組むべき
戦略(Green Infrastructure Strategy Agenda)2)が策定され、
政府による資金調達・融資の仕組みが整備されました。

国土交通省グリーンインフラポータルサイト導入編によれば、
グリーンインフラの概念が本格的に我が国に導入されたのは、平成25年(2013)ごろと言われていますが、
従来の社会資本整備事業や土地利用の取組では、自然環境が持つ防災・減災、地域振興、環境といった各種機能を
活用した取組は、以前から既に実施していたことになります。これらは「グリーンインフラ」と称していないものの、
河川、都市、海岸等幅広い分野で、社会資本整備事業や土地利用に求められる効果を発現させるため、自然環境が
有する機能について、地域とのコミュニケーションを図りつつ、技術的検討、制度上の機能担保等を十分に行った上、
でできる限り活かすように心がけてきました。

我が国のグリーンインフラのアプローチには、2つのタイプがあるように思われます。
1つは健全な水循環を目指したアプローチ、もう1つは造園の中に取り入れるアプローチです。
いずれも雨水貯留浸透施設の導入が不可欠のように思われます。

参考文献2)“Green Infrastructure Strategy Agenda”のイメージ写真と前文の日本語訳を以下に示します。

レインガーデン性インターロッキング

レインガーデン性インターロッキング

雨水利用タンク

雨水利用タンク

透水

透水

グリーンインフラストラクチャは、自然のプロセスを模倣するように設計された自然システムおよび/
または設計されたシステムを使用して、都市の豪雨をより効果的に管理し、浸水の影響を減らします。
これらのシステムは、多くの場合、土壌または植生に基づいており、樹木保全や不浸透性被覆の削減などの計画アプローチ、
およびレインガーデンや透水性舗装などの構造的な対応が含まれます。

グリーンインフラストラクチャは、都市部の水文機能を維持または回復することにより、降水を廃棄物ではなく資源として扱い、
コミュニティ開発と水質目標の達成に重要な役割を果たすことができます。

EPA(米国環境保護庁)とそのパートナー組織は、より健全な水循環を実現するための包括的なアプローチの一環として、
長年にわたってグリーンインフラストラクチャの活用を推進してきました。グリーンインフラストラクチャは、雨水が落下する
場所の近くで雨水を管理し、流出時に混入する多くの汚染物質を除去することで雨水流出量を減らし、雨水汚染に対処し、
水質を改善するための効果的な戦略になります。グリーンインフラストラクチャは、雨水利用または雨水を浸透させることにより、
持続可能な地域の水供給を提供することもできます。

グリーンインフラストラクチャは、水質を改善するための費用効果の高いアプローチであり、環境、経済、およびコミュニティの
多岐にわたる利益を提供することにより、コミュニティがインフラストラクチャへの投資をさらに拡大するのに役立ちます。
この多岐にわたる利益へのアプローチは、都市コミュニティをサポートおよび活性化する持続可能で回復力のある
水インフラストラクチャを創造します。気候変動に直面して、より回復力のあるシステムを創造することがますます重要になります。
より激しい気象事象や水供給の減少が国の水インフラストラクチャの機能を圧迫するにつれて、グリーンインフラストラクチャは
回復力と適応性を高めるためのアプローチとなります。
この戦略は、以前の2008年と2011年のバージョンに基づいており、グリーンインフラストラクチャを構築するためのコミュニティの
取り組みをサポートするためにEPAが追求する主要な目標の概要を示しています。

この戦略を通じて、EPAは、グリーンインフラストラクチャの役割と、グリーンインフラストラクチャが提供できるメリットを評価するために、
国および地方の能力を高めることを目指しています。戦略の目的は、5つの主要な重点分野にまとめられています。

1.連邦政府の調整
2.水質浄化法の規制支援
3.研究と情報交換
4.資金調達
5.機能向上

参考文献
1)Green Infrastructure Statement of Intent.2007.EPA
2)Green Infrastructure Strategic Agenda.2013.EPA

忌部氏写真